透明感と耐久性を両立したセラミック修復の症例
投稿日:2025年5月28日
カテゴリ:詰め物・被せ物症例
透明感と耐久性を両立したセラミック修復症例
こちらの患者さんは定期健診、歯のクリーニングで来院されました。
撮影したレントゲン写真で、左上の小臼歯の歯と歯の間(遠心隣接面)にむし歯の疑いがある影が見つかりました。目で見ただけでははっきりとむし歯の穴や黒ずみは見えませんでしたが、見えない部分で進行している可能性があるため、更なる検査と治療を進めることになりました。
患者さんのご希望
「もし、むし歯があるなら、見た目が自然で、できるだけ長く使えるセラミックの詰め物にしたい」とご希望されました。
セラミックは保険適用外の治療となりますが、見た目や耐久性を重視する方におすすめの素材です。現在は、保険でも白い詰め物が可能なケースもありますが、色に不自然さがあることや、なによりも耐久性に劣る難点があります。
治療方針
見た目ではむし歯が確認できなかったことから、ごく初期のむし歯が歯の間の接触している部分に限られていると考えられます。
そのため、通常であればレジンと呼ばれる白い樹脂(保険適用)を直接詰める方法でも対応可能なケースでしたが、患者様の「長持ちするものがいい」というご要望を受けて、セラミックを型取りして作る「インレー修復」という方法を選びました。
当院が現在取り扱うセラミックの種類は次の通りです。
●ハイブリッドセラミック
プラスチックとセラミックを混ぜた素材で割れにくいですが、時間が経つと変色しやすいのが難点です。
●ジルコニア
とても硬くて丈夫ですが、やや白く不透明で、周囲の歯と色を合わせづらいことがあります。
●e-max(イーマックス)
ガラスを含むセラミック素材で、自然な透明感と強度のバランスが良く、色味も調整しやすいのが特徴です。
今回は、色味や噛み合わせ、そして患者様のご希望を踏まえて、e-maxを選択しました。また、歯ぐきの近くに過去のレジン修復跡が多く見られたため、歯ぎしりや食いしばりの癖がある可能性も考慮し、硬すぎないe-maxが適切と判断しました。
①むし歯を削って形を整える
むし歯の部分を専用の薬(う蝕検知液)で染め出しながら丁寧に除去し、詰め物が入るように歯の形を整えました。
②型取りと色合わせ
専用の材料で歯の型をとり、周囲の歯の色を見ながら自然な仕上がりになるように色も合わせます。
③詰め物を作製
④装着
完成した詰め物を、専用の接着剤で歯にしっかりと固定しました。色や形も自然で、仕上がりに患者様もご満足いただけました。
治療後の注意点
e-maxは見た目が美しく、強度も十分にあり、非常に硬いものですが、氷や固いものを噛むと稀に欠けたり割れたりすることがあります。
歯ぎしりが強い方は、ナイトガード(マウスピース)を併用することで修復物の寿命を延ばすことができるので、おすすめしています。いずれにしても、定期的なメンテナンスで、継続的に管理していくことがとても大切になります。
年齢・性別 | 30代 女性 |
治療期間・回数 | 2週間(通院2回) |
治療部位 | 左上第一小臼歯 e-maxインレー修復(セラミック製の詰め物) |
治療費 | 装着料 49,500円 印象料 4,400円 (税込) |
副作用・リスク | セラミックの詰め物は強い力で稀に割れることがあります |
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