セラミッククラウンによる審美的・機能的な修復症例
投稿日:2025年7月1日
カテゴリ:詰め物・被せ物症例
セラミックによる審美的・機能的な修復症例
左下7番には、以前に装着された白いアンレー(詰め物)がありました。これはレジン系の素材と思われますが、遠心側が破折し、内部にはやわらかくなった象牙質(むし歯部分)が確認されました。
また、他のマージン部(詰め物と歯の境目)にも経年劣化や黒ずみが見られました。レントゲンでは神経に近い深いむし歯は確認されず、抜髄(神経を取る処置)は避けられる可能性があると判断しました。
【患者さまのご希望と治療方針】
詰め物が割れた原因として、かみ合わせのズレや装着時の調整不良、内部のむし歯、素材の劣化などが考えられました。
むし歯を除去して形を整えた場合、残っている歯の量が少ないことから、再びアンレー(大きな詰め物)で修復しても強度に不安が残ると判断し、クラウン(被せ物)での修復をご提案しました。
患者さまは「オールセラミックが希望だが、費用はできるだけ抑えたい」とのことでしたので、審美性と費用のバランスに優れた「オールセラミック(スタンダード)」を選択されました。
①むし歯の除去と仮歯の装着
以前のアンレーを外すと、内部に深いむし歯がありましたが、神経の露出はありませんでした。ただし、咬頭(歯のとがった部分)は、ほぼ失われていたため、クラウンでの修復が不可避でした。
むし歯除去後には、歯を保護するために光で固める裏層材を使用し、歯の形を整えました。クラウンの土台となる支台歯形成は、オールセラミックに適した方法で削り、見た目を良くするために歯ぐきのやや下(歯肉縁下0.5mm)にマージンラインを設定しました。
刺激から歯を守るため、テンポラリークラウン(仮歯)を装着して次回まで経過観察を行いました。
②型取りと色合わせ
仮歯の期間に痛みや違和感はなかったため、予定通り型取りを行いました。歯ぐきを軽く押し広げる「圧排糸」を使用し、マージン(境目)が明瞭に出るように工夫して、精密なシリコン印象を採得しました。
周囲の歯の色味に合わせて、シェードガイドで確認した結果、色は「A3.5」が自然に調和することがわかり、それに基づいてクラウンの製作を依頼しました。
③装着と仕上がりの確認
出来上がったオールセラミック(スタンダード)クラウンは、模型上とお口の中での適合に大きな差がなく、非常に精密に作られていました。見た目も自然な色合いで、患者様にも大変ご満足いただけました。
治療後の注意点
オールセラミック(スタンダード)クラウンは審美性と強度を兼ね備えていますが、氷など硬い物を噛んだ際に稀に欠けることがあります。歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は、ナイトガード(就寝中に装着するマウスピース)を併用すると、補綴物の長持ちに繋がります。今後も定期的な検診を通して、状態をチェックしながら良好な口腔環境を保っていくことになりました。
年齢・性別 | 30代 男性 |
治療期間・回数 | 1ヵ月(通院3回) |
治療部位 | 左下第二大臼歯(左下7番) オールセラミック(スタンダード)クラウン修復(セラミック製の被せ物) |
治療費 | Tec製作料 3,300円+印象料 4,400円+装着料 121,000円(税込) |
副作用・リスク | セラミックの被せ物は強い衝撃でまれに破折することがあります |
■ 他の記事を読む■